山頂付近には弘法大師の物語がたくさんある。清盛の栄枯盛衰の海の物語と双璧である。
弘法大師が唐の留学で修得した密教を携え厳島海峡を渡るとき弥山に激しい霊気を感じ
百日の間求聞持法の修業を行った。大同元年(806)である。
修業に先立ち弘法大師は日本に唯一の三鬼大権現を勧請し一切の穢れがないように
真言密教修業の聖地にした。阿波の大龍獄、土佐の室戸崎とともに真言密教の日本三大
道場といわれている。そのような訳で弥山7不思議が出来上がった。
① 不消霊火
大聖院参道から上がれば左、紅葉谷ないしロープウエルート
から登れば右に不消霊火堂がある。
修業から千二百年間途絶えることなく、燃え続ける護摩の火
は八 幡製鉄所溶 鉱炉の種火となり、
平和公園「平和のともしび」の火となり、
アジア大会の聖火となって燃え続けている。
囲炉裏にかけられている大茶釜の湯は万病に効くといわれ
多くの参拝客が訪れる。
堂内は不動明王が祀られ黒光りの姿は迫力満点である。
故郷が遠く先祖供養ができない人でロウソクを奉げ供養をする人もおられる。
日本三大不滅の法灯に数えられている。
京都比叡山延暦寺、山形の山寺立石寺 「閑さや岩にしみ入る蝉の声、 芭蕉の句で有名」
宮島の不消霊火堂。
② 錫杖梅
不消霊火堂から南側20Mの所に弘法大師がたてかけられた
錫杖が根つき梅の大木になっている。
弥山に不吉なことがあれば花が咲かないといわれている。
今年はピンク色のつぼみをつけているから平穏な年になりそう
(1月16日現在)
多くの人に親しまれる予言の古木。
③
曼荼羅岩
錫杖の梅から南、本堂の裏の斜面の岩に「三世諸仏 正八幡三所 天照大神宮
三千七百余神」と刻まれている。
過去の仏、現代の仏、未来の仏 皇室の守護神八幡神、熊野本宮、熊野新宮、熊野那智
天照大神、天神地祇三千七百の神 大和の神仏勢ぞろい。
曼荼羅岩は近年の度重なる台風で倒木し危険のため立ち寄れない。
* 過去の仏について
山口県の徳地に狗留孫山、安芸冠山に狗留孫岩がある。
過去の七仏の四番目狗留仏と呼ばれている。
④
天狗拍子木
霊山を守るために弘法大師が勧請した三鬼神は天狗軍団を呼び集めた、鼻の高い
大天狗( 太郎坊、次郎坊) その配下は烏天狗、 本部は三鬼堂、その舞台は離着陸用に
造られている。山を壊すもの、穢すもの、酒をのんで騒ぐもの、遭難で迷惑をかける、
「登山ルールで午後三時までに下山か、山小屋に入ることになっている」不埒者に
注意をするために未の刻「午後二時」から烏天狗が拍子木を鳴らしている。
今は聞くことができない。
⑤
時雨桜
花の重みで枝垂れ桜のように枝が垂れ下り花
びらや葉っぱに露が降りると、晴れた日でも
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何十年か先のイメージ |
風になびけば地面は、とうり雨が過ぎたかのよ
うに濡れている。
今は枯れて切り株もない。ところが三鬼堂に上
る階段横に丸い金網に囲まれて
時雨桜「弥山七不思議」と表示された高さ一M
ほどの木が植わっている。愛媛から嫁に来たらしい
大聖院と宮島ボランテアの有志の方の頑張り
だそうだ。嫁入り記念に、もみじ饅頭で有名な山田屋謹製で (聖乃志ぐ礼)
と銘々され店頭に並んでいる。
⑥
龍灯杉
旧正月元旦の夜から六日までの海の穏やかな日、宮島周辺の海面に不思議な光が現れた
島民は龍灯とよんでいた。この現象をみるために、とまりがけで見物にくる人もいた。
烏天狗も正月は大目にみていたのか 見物客はいつも無事に帰宅していた。
その灯が一番よく見える場所が頂上の大杉からであった。
今は株もみわたらないが不消霊火堂の不動明王の近くに杉の一部分が奉納されている。
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勝手に創作しました |
⑦
干満岩
案内板に(岩穴の水は、満潮の時には溢れ干潮の時には乾く。不思議な穴で水は塩分を
含んでいる。弥山7不思議の一つ)と説明されている。
直径12㎝、奥行き27㎝、深さ5㎝の手のこぶしが入る穴である。
近くに目洗薬師地蔵が祀ってある。 目の不自由な人は干満岩の塩水で目を洗うと
御利益があるといわれていたが、今は衛生上そのような習慣はない。
弥山7不思議めぐりは想像をめぐらせながら歩くと楽しくなる それも無料。